『仕事をする上で心がけていることは何ですか？』

■この質問の意図は？

この質問は、仕事に取り組む姿勢や価値観を確認するためのものです。

面接官は、応募者がどのような仕事観を持っているのか、仕事をする上で大切にしていることは何か、といった「仕事に対するこだわり」を知りたいと思っています。
そして、そのこだわりが応募先企業の社風や業種・職種に合うかどうかを判断します。

言い換えると、応募者にとってこの質問は、「自分はこんな『強み』を持っていて、企業側の理想の人物像と一致する人物だ」とアピールするための材料となる質問なのです。

■具体的に、何を答えれば良い？

この質問に対する回答のポイントは、
「自分は仕事に対してどのようなポリシーを持っていて、そのポリシーに基づいて仕事をすることによって、企業にどのようなメリットがあるのか」
をしっかり伝えることです。

「仕事上のポリシーなんて特にない」という人も多いでしょう。
実際、明確なポリシーを持って仕事に取り組んでいる人は少数です。

しかし、これまで仕事をしてきた中で、ちょっとした気配りや工夫などをした経験は誰にでもあるはずです。
あくまでも「心がけていること」なので、実際にそれが徹底できていなくても構いません。

例えば、
・仕事を正確で迅速に行う
・チーム内での意思疎通を図る
・計画を立て、効率的に仕事をこなす
・情報収集を怠らない
・同じミスは絶対にしない
など、少し考えただけでもたくさんの心がけが出てきます。

仕事の取り組み方、同僚・顧客との接し方、仕事に対する考え方などの中から、自分の考え方や目指す人物像に近いものをいくつかピックアップし、さらにその中から応募先の社風、業種・職種にマッチしたものを選びましょう。

ただし、業務上心がけていることを聞かれているので、「遅刻しない」「挨拶をする」等、社会人として当たり前のことはあまり良い印象を与えません。
また、抽象的で誰にでも当てはまる回答ではなく、できるだけ具体的なエピソード(その心がけがもたらした結果)を交えるとより良い回答になります。

具体的には、次のような回答になります。

例：経理の場合

「私は、迅速かつ正確で丁寧な仕事をするよう心がけています。
経理業務は、会社のお金の流れを管理する部署であり、会社の信用に大きく関わっています。
ボタン一つで簡単にお金を動かすこともあるので、ケアレスミスは絶対に許されない仕事だということを常に意識して業務に取り組んでいます。

また、お金だけでなく、給与や扶養控除等に伴った社員の個人情報も多く扱います。
これらの情報を扱う時は、注意深く慎重に行う必要があると思います。
特に、手続きの遅滞や不備があると、受け取れるはずのものが受け取れないといったトラブルで社員に迷惑をかけてしまうので、できるだけ丁寧に説明し、迅速に処理するように心がけています」

例：異職種(営業から総務)に転職する場合

異職種に転職する場合は、両者に共通する強みを探すのも一つの手です。

「私は、相手の立場に立って物事を考えるように心がけています。
営業という仕事では、お客様が相手になる場合が多いですが、お客様に対してだけでなく、同じ職場で働く仲間に対しても同じように考えて行動することによって、職場内でもより良い人間関係を築き、より良い仕事ができると考えています。

総務部門は直接会社の売り上げに貢献する部門ではありませんが、同じ職場で働く社員のニーズを知り、そのニーズを満たすことによって、それぞれの仕事に集中してもらうことができると思います。
これまで営業で培ってきた経験を最大限生かし、社内業務の効率化に努めたいと思います」

例：管理職の場合

管理職の場合は、部下との接し方で心がけていることでも良いでしょう。

「私は、皆が気持ちよく働けて、個々の能力を最大限発揮できる職場づくりを心がけています。
部下と接する際は、話をしっかり聞き、褒めるときは褒め、叱るときは叱り、その後の適切なフォローによって、強固な信頼関係を築くことを大切にしています。

以前は、失敗した部下に対して頭ごなしに怒ることもありましたが、その後、雰囲気が悪くなることもあり、これではいけないと自分なりに「叱り方」を模索しました。

そこで、失敗の中にも良かった点を見つけて褒めたり、どこが悪かったのか、どのように改善すべきかを論理的にアドバイスし、その後は気をかけながら見守るようにしました。
その結果、以前よりも、部下が自分自身の考えで、より良い仕事をしようと動いてくれるようになりました。

この経験から、上司・部下という関係の前に、一緒に仕事をしている仲間だということを意識し、皆が気持ちよく働ける環境を作ることを心がけるようになりました。
これこそが管理職の役目であると考えています」

以上、『仕事をする上で心がけていることは何ですか？』でした。